関越トンネルの機械設備保守の要 ~新潟-東京間の動脈を支える~

今回のメンバー

  • 星 和雄
    湯沢道路事務所 保全課 課長

社員の所属・記事内容は、記事公開日当時のものです。

経年劣化を見逃さないために

関越トンネルは開通から30年が過ぎ、設備の老朽化も進み、様々な不具合が危惧される時期に差し掛かっています。通行止めをせずに道路を活かしながら、それらの問題に対して原因究明・対策・改善に向けて湯沢道路事務所は一丸となって取組んでいます。

日本最長の高速道路トンネルに挑む

延長11キロメートルにもおよぶ関越トンネルは山岳道路トンネルとしては国内最長を誇り、多くの調査・検討を経て建設されました。

上下線の間には有事の際に利用する避難用のトンネルが設けられ、また停電時にはトンネル内の視界を確保するために国内では唯一、異なる電力会社からそれぞれ電源を確保するなどの工夫や受配電・トンネル非常用・トンネル換気等の各設備も手厚く設置されています。その規模や複雑さは電気・機械等の専門エンジニアにとっても難関であり、ここで経験を積めば殆どのトンネル内設備に対応できると言われるほど。

随所に盛り込まれた考え方はこれ以降に建設された長大トンネルにも活かされています。

換気制御を効率化するソフトウェアの開発

トンネル内の設備は、近年さらに進化しています。そのひとつがシミュレーション予測方式によるトンネル換気制御のソフトウェア、MPVC(Model‐based Predictive Ventilation Control)の登場です。

高度な予測制御を行うため、予め現在のトンネル内の視環境や一酸化炭素濃度等の環境状態を踏まえ、トンネル手前の交通量がトンネルに達した時のトンネル内の状況をシミュレーションします。次に、その結果から換気機の最適運転組合せを解析し、予測した時間に合うように換気機器の運転を行います。さらに、予測した内容と実際の状況を、比較し自動的に補正を行います。この制御方式を導入したことにより、関越トンネルではトンネル内の環境を確保したうえで前年比50%の電力量の削減に成功しました。

このソフトウェア開発には私も関わっていました。その作業は、膨大なデータの集約と経験値を基に解析し調整に成功し、シミュレーションに反映。さらに取扱い易さを考え構築に至ったものです。

設備点検と防災訓練で安全を追求

日本列島の脊梁を横断する関越トンネルの役割は、地域社会の発展や暮らしの向上を支えるとともに、災害時には緊急交通路として各地を結び、警察・消防・自衛隊などの活動に貢献するものです。

その役割を果たし、またお客さまの安全・安心・快適な走行環境を目指して様々な設備が設置され、それぞれの設備を一元的に監視・運用する道路管制センターと現場が一体となって設備点検と防災訓練に取組み、さらなる安全・安心を追求し続けていきます。

※内容は2019年2月取材当時のものです。

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