親不知海岸高架橋の塩害対策最前線 ~北陸最大の交通難所を守る~

今回のメンバー

  • 後藤 和浩
    土木事業部 土木管理部 土木管理課 課長

社員の所属・記事内容は、記事公開日当時のものです。

日本海の荒波による「塩害」の脅威

北アルプスの北部が日本海に落ち込む急峻な断崖、親不知・子不知。そこでは、わずかな平地に国道8号線とJRが並走しているため、北陸自動車道・親不知海岸高架橋は、日本海初の海上インタージェンジを併設した橋梁として建設されました。

開通後は、波しぶきや海からの飛来塩分がコンクリート内部に浸透し、鉄筋を腐食させる「塩害」が発生。詳細調査の結果、塩害劣化の進行が早いことがわかり、下部工は平成10年から、上部工は平成16年から予防保全工事を計画的に実施してきました。

現在でも定期的に点検を続けています。塩害を放置すると構造物の健全性が低下し、道路の安全性が確保できなくなるからです。

電気の力でコンクリートを再生する

平成24年には、橋梁上部工の補修対策工法を決定するため詳細調査を実施しました。

コンクリートから採取した試料を分析した結果、含まれている塩分量が多く、また、対策範囲が広範囲に及ぶことから「脱塩工法」を選択しました。これは、コンクリート外部に陽極となる電極を設置し、コンクリート内部の鉄筋を陰極として両電極間に電流を56日間流し続け、塩化物イオンを強制的に排出させ、コンクリートを電気化学的に再生させる工法です。

コンクリート塗装工に比べると大がかりな工事ですが、橋梁下面で行えるため通行止めにする必要がなく、お客さまの利便性を保てることもこの工法採用の理由のひとつでした。

様々な現場での経験が自信となり、糧となる

ネクスコ・エンジニアリング新潟が担当する業務は、「保全点検」に始まり、劣化状況を調査し、分析・詳細調査、補修対策の検討を行う「調査設計」を経て、工事を発注し、品質・工程・安全を管理する「施工管理」まで広範囲にわたります。

補修工事は受注した施工会社が行いますが、工事発注から完成までの一連の流れを施工管理員として携わることができます。また、継続的に点検や追跡調査ができるため、達成感は大きく、また、エンジニアとしての成長につながります。海上インターチェンジの保全という希有な経験は、さらに誇りや自信となって、次の一歩のための糧にもなります。

私たちは、様々な現場での業務経験から高速道路の維持管理をトータルマネジメントできる会社を目指し、技術力の向上に取り組みます。

過酷な自然環境にも負けない安全を

日本海特有の北西の季節風が吹き荒れる冬期間、強風と波しぶきにさらされる親不知海岸高架橋。開通時から計画的な調査を行い、塩分量の分析や劣化予測に基づいて、コンクリート塗装工、防錆剤混入モルタルによる断面修復工、また、脱塩工法など各種対策を実施してきました。もちろん現在も定期的に点検を行い、安全性の確認と構造物の延命化に努めています。

過酷な自然環境の中においても安全・安心で快適な高速道路を提供できるよう、保全点検を続けて維持管理に努めていきます。

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